懸垂をすると身長は伸びる?伸びない?

懸垂をすると身長は伸びる?伸びない?

「あと少し、身長が高かったら…」

 

部活動でもっと活躍できたかもしれない、好きな服がもっと似合うかもしれない。高校生という多感な時期に、身長のことで悩んでいませんか?そんな時、ぶら下がると体が伸びる感じがする「懸垂」に、身長を伸ばす効果があるのではないかと期待する気持ち、とてもよく分かります。

 

結論としては、残念ながら、懸垂をするだけで骨が伸び、身長がグングン伸びるという直接的な効果は期待できません。しかし、ここでがっかりしてページを閉じるのはまだ早いです。懸垂には、あなたの「隠れた身長」を引き出し、成長期のラストスパートを力強くサポートする素晴らしい効果があるのです。

 

この記事では、なぜ懸垂が身長に良い影響を与えるのか、その科学的な理由から、身長の伸びを最大限に引き出すための具体的なトレーニング方法、そして最も大切な生活習慣まで、あなたの悩みにトータルで応えていきます。もう一人で悩む必要はありません。正しい知識を身につけて、理想の自分に近づくための一歩を、今日から一緒に踏み出しましょう。

懸垂で身長は伸びる?気になる疑問に答えます

 

多くの人が抱く「懸垂をすれば身長が伸びるのでは?」という期待。その気持ちはとても自然なものですが、まずは医学的な事実から見ていきましょう。ここでは、懸垂と身長の本当の関係について、結論から分かりやすく解説します。希望を打ち砕くためではなく、正しい知識で効率よく目標に近づくために、とても大切なパートです。

懸垂で骨が直接伸びるわけではないという事実

まず知っておいていただきたいのは、身長が伸びるという現象の仕組みです。私たちの身長は、主に足や背骨の「骨が長くなる」ことで高くなります。特に成長期には、骨の両端にある「骨端線(こったんせん)」という軟骨のプレートで、細胞分裂が活発に行われます。この細胞分裂によって新しい骨が作られ、骨が長く伸びていくのです。

 

そして、この骨端線は成長期が終わる頃(一般的に男子で17〜18歳頃、女子で15〜16歳頃)になると、硬い骨に変化して閉じてしまいます。骨端線が一度閉じてしまうと、残念ながら、その後どんなに運動やストレッチをしても、骨自体が再び伸びることはありません。

 

では、懸垂でぶら下がった時に体が伸びる感覚は何なのでしょうか。これは、背骨と背骨の間にあるクッションの役割をする軟骨「椎間板(ついかんばん)」が、重力によって一時的に引き伸ばされている状態です。朝起きた時に身長が少し高くなっているのと同じ原理ですね。

 

しかし、これは骨自体が成長しているわけではないため、しばらく活動すると元の状態に戻ってしまいます。つまり、懸垂の力で骨端線を刺激して骨を直接長くする、という効果は科学的には証明されていないのが現状なのです。

しかし懸垂が身長の伸びをサポートする3つの理由

では、懸垂は身長の悩みを持つ高校生にとって全く無意味なのでしょうか?答えは断じて「いいえ」です。懸垂には、身長の伸びを直接的ではなく「間接的に」サポートする、見逃せない3つの大きなメリットが存在します。

 

姿勢の改善効果: 猫背や巻き肩を矯正し、本来の「隠れた身長」を取り戻す。
成長ホルモンの分泌促進: 骨の成長に不可欠なホルモンの分泌を、適度な運動によって促す。
全身の血行促進: 骨の成長に必要な栄養素を、体の隅々まで効率よく届ける。

 

これらは、成長期のラストスパートをかけたい高校生にとって、非常に重要な要素です。懸垂は「身長を伸ばす魔法」ではありません。しかし、「身長が伸びやすい体を作るための、最高のサポーター」になってくれることは間違いありません。これらの素晴らしい効果について、もっと詳しく見ていきましょう。

なぜ懸垂で身長が高くなったように感じるのか?その正体は「姿勢改善」

 

「懸垂を始めてから、少し身長が伸びた気がする」「なんだか背筋が伸びて、視線が高くなった」。そう感じる人は少なくありません。その感覚は、決して気のせいではないのです。骨が伸びたわけではなくても、実際に身長が高くなる。その秘密は、あなたの「姿勢」に隠されています。

猫背や巻き肩があなたの身長を数センチ低く見せている

現代の高校生の生活を想像してみてください。授業中は机に向かい、休み時間はスマートフォンを覗き込み、家に帰ればまた勉強やゲームで前かがみに…。私たちの生活には、どうしても背中が丸まりやすい習慣が溢れています。

 

スマホは特に姿勢が崩れやすいですよね。

 

この姿勢が続くと、背中が丸くなる「猫背」や、肩が本来の位置より前に出て内側に入り込む「巻き肩」が定着してしまいます。猫背になると、背骨が描く美しいS字カーブが崩れ、頭が前に突き出て、全体的に縮こまった印象を与えます。

 

この悪い姿勢によって、本来あなたが持っているはずの身長が、実に2〜3cm、人によってはそれ以上も低く見えてしまっているのです。せっかく伸びる可能性のある貴重な身長が、無意識の姿勢によって隠されてしまっているとしたら、これほどもったいないことはありませんよね。

懸垂が鍛える「背中の筋肉」が正しい姿勢を取り戻す

懸垂は、この姿勢の問題を根本から解決するための、非常に効果的なトレーニングです。なぜなら、懸垂で主に鍛えられるのは、背中側にある「広背筋(こうはいきん)」や「僧帽筋(そうぼうきん)」といった、姿勢を維持するための大きな筋肉だからです。

 

これらの筋肉は、例えるなら体を後ろから力強く支えてくれる、天然のコルセットのようなもの。特に、脇の下から背中にかけて広がる広背筋が鍛えられると、丸まっていた背中がぐっと引き上げられ、自然と胸を張った姿勢を保ちやすくなります。また、首から背中の中央部にある僧帽筋は、肩甲骨を正しい位置に引き寄せる働きがあり、巻き肩の改善に直結します。

 

つまり、懸垂を継続することで、体の後ろ側の筋肉が強化され、意識しなくても背筋がスッと伸びた美しい姿勢が手に入るのです。これが、隠されていた本来の身長を取り戻し、「懸垂をしたら身長が高くなった」と感じる最大の理由なのです。見た目の印象が良くなるだけでなく、自信にもつながる、素晴らしい効果だと言えるでしょう。

成長期を最大限に活かす!懸垂がもたらす間接的なメリット

 

姿勢改善という、目に見える直接的な変化だけでなく、懸垂は体の内側からもあなたの成長を力強く後押ししてくれます。特に、骨の成長に欠かせない「成長ホルモン」と、その材料となる「栄養」という観点から見ると、懸垂がもたらすメリットは計り知れません。成長期のポテンシャルを最大限に引き出すための、体の内側で起こる変化を見ていきましょう。

運動による成長ホルモンの分泌促進と質の良い睡眠

身長を伸ばす上で、主役とも言える最も重要な役割を果たすのが「成長ホルモン」です。この成長ホルモンは、脳下垂体から分泌され、血液に乗って全身に運ばれ、骨の骨端線に働きかけて骨の成長を促します。まさに、身長を伸ばすための司令塔のような存在です。

 

そして、この成長ホルモンが一日の中で最も多く分泌されるタイミングが2つあります。それが「深い睡眠中」と「運動後」です。懸垂のように、自分の体重を使って筋肉にしっかりと負荷をかける運動(レジスタンス運動)を行うと、体は傷ついた筋繊維を修復し、より強く成長させるために成長ホルモンの分泌を活発にします。

 

さらに、日中に適度な運動で心地よい疲労感を得ることは、夜の深い眠り、つまり「質の良い睡眠」にも直結します。質の良い睡眠がとれれば、睡眠中の成長ホルモンの分泌もさらに促進されます。つまり、

 

懸垂で体を動かす
→ 運動後に成長ホルモンが分泌される
→ 夜ぐっすり眠れる
→ 睡眠中にさらに多くの成長ホルモンが分泌される

 

という、成長にとって最高に理想的なサイクルを生み出すことができるのです。

血行促進で骨の成長に必要な栄養を隅々まで届ける

骨が成長するためには、その材料となる栄養素が不可欠です。しかし、いくら栄養バランスの取れた食事を心がけても、その栄養が体の隅々、特に骨が成長する現場である骨端線までしっかりと届かなければ意味がありません。栄養素を運ぶのは、他ならぬ血液です。

 

ここで活躍するのが、運動による血行促進効果です。懸垂で背中や腕の大きな筋肉をダイナミックに動かすと、心臓のポンプ機能が活発になり、全身の血の巡りが格段に良くなります。血流がスムーズになることで、食事から摂取したタンパク質やカルシウム、ビタミン、ミネラルといった貴重な栄養素が、血液という高速道路に乗って、体の末端まで効率よく届けられるようになります。

 

これは、作物を育てる畑に、水や肥料を隅々まで行き渡らせる作業とよく似ています。懸垂は、あなたの体を「栄養をしっかりと吸収し、健やかに成長しやすい豊かな土壌」に変えてくれる、素晴らしい効果があると言えるでしょう。

身長を伸ばしたい高校生が知っておくべき懸垂の注意点

 

懸垂の素晴らしい効果を知ると、「よし、今日から毎日やるぞ!」と意気込んでいるかもしれません。その気持ちはとても素晴らしいですが、少しだけ待ってください。焦って間違った方法で行うと、効果が半減するばかりか、肩や肘を痛めてしまう原因にもなりかねません。ここでは、安全かつ効果的に懸垂を行うために、絶対に知っておいてほしい注意点をお伝えします。

無理は禁物!まずは正しいフォームを意識することから

「そもそも懸垂なんて1回もできない…」と不安に思っている人も多いのではないでしょうか。安心してください、全く問題ありません。特にトレーニング経験のない高校生なら、それが普通です。最初から完璧にできる人はいませんし、大切なのは回数をこなすことよりも、正しいフォームを意識することです。

 

まずは、公園の鉄棒やぶら下がり健康器に、ただ「ぶら下がる」だけでも十分な効果があります。両手でバーを握り、体をリラックスさせてぶら下がることで、自重で背骨周りの筋肉や椎間板が心地よくストレッチされ、姿勢改善の第一歩になります。これなら、今日からでも始められますよね。

 

ぶら下がることに慣れてきたら、次は肩甲骨を中央に「寄せる」動き(背中を少しだけ引き締めるようなイメージ)を意識して、少しだけ体を引き上げてみましょう。ここまででも、背中の筋肉には良い刺激が入ります。もし懸垂ができる人も、体を大きく振る反動を使ったり、肩をすくめて首の力で無理やり上がろうとしたりするのはNGです。あくまで背中の広がりを意識し、ゆっくりとした動作で行うことが、効果を高め、怪我を防ぐ最大のポイントです。

懸垂「だけ」に頼らない!身長を伸ばす基本は生活習慣

ここまで懸垂のメリットをたくさん解説してきましたが、ここで最も重要なことをお伝えしなければなりません。それは、「懸垂だけで身長がみるみる伸びるわけではない」ということです。懸垂はあくまで、あなたの成長のポテンシャルを最大限に引き出すための、強力な「サポーター」であるということを忘れないでください。

 

この記事では懸垂という動作に注目していますが、もちろん懸垂が一番良いとか、これだけをやれば良いという話ではありません。

 

身長を伸ばすための揺るぎない土台となるのは、昔から言われている通り「栄養」「睡眠」「運動」という生活習慣の三本柱です。このうちのどれか一つでも欠けてしまうと、まるで脚が一本折れた椅子のようになり、成長のポテンシャルを最大限に引き出すことは難しくなってしまいます。

 

例えば、毎日懸垂を頑張っているのに、夜は深夜までスマホを見て夜更かしをしたり、食事はスナック菓子やカップラーメンばかりだったりしたらどうでしょうか。せっかくの努力が台無しになってしまいますよね。懸垂を日々の生活のプラスアルファとして取り入れつつ、これからお話しする生活習慣全体を見直すことこそが、あなたの目標達成への一番の近道になるのです。

懸垂と組み合わせたい!身長の伸びを加速させる生活習慣3選

 

懸垂で得られる姿勢改善や成長ホルモン分泌促進といった効果を最大化し、成長期のラストスパートを本気でかけるために、日々の生活で特に意識したい3つの重要な習慣があります。これらを懸垂と組み合わせることで、1+1が3にも4にもなるような、素晴らしい相乗効果が期待できます。

【栄養】骨の材料を補給するバランスの取れた食事

丈夫な骨やしなやかな筋肉、そして健やかな体を作るためには、その源となる「材料」、つまり栄養素が欠かせません。インスタント食品やジャンクフードも手軽で美味しいですが、成長期の体にとっては栄養が偏りがちです。特に意識して摂取したいのは、以下の栄養素です。

 

タンパク質: 骨や筋肉の主成分であり、体のすべてを作る基本の栄養素。肉、魚、卵、そして納豆や豆腐などの大豆製品に豊富に含まれています。毎食、手のひらサイズのタンパク質を摂ることを目指しましょう。

 

カルシウム: 骨を硬く、丈夫にする代表的なミネラル。牛乳やヨーグルト、チーズといった乳製品のほか、しらすなどの小魚、小松菜や水菜などの緑黄色野菜にも多く含まれます。

 

ビタミンD: カルシウムの吸収を助ける、縁の下の力持ちのようなビタミン。きのこ類や鮭などの魚類に含まれるほか、日光を15分ほど浴びることでも体内で生成されます。

 

亜鉛: 細胞分裂をサポートし、骨の成長に深く関わる重要なミネラル。不足すると成長が滞ることも。牡蠣やレバー、牛肉の赤身などに豊富です。

 

これらの栄養素を、三度の食事でバランス良く摂ることを心がけるだけで、あなたの体は内側から変わり始めます。

【睡眠】成長ホルモンを分泌させる質の高い眠り

成長ホルモンは、夜10時から深夜2時のゴールデンタイムに多く分泌されるとよく言われますが、近年の研究では、時間帯そのものよりも「眠りに入ってから最初の90分の深さ」が最も重要だと分かっています。質の高い睡眠を確保するために、以下のことを今日から実践してみましょう。

 

就寝1〜2時間前からはスマホやテレビを見ない: 画面から出るブルーライトは、脳を覚醒させてしまい、眠りを浅くする最大の敵です。

 

毎日同じ時間に寝て、同じ時間に起きる: 休日もなるべく同じリズムで過ごすことで、生活リズムを司る体内時計が整い、自然な眠気が訪れやすくなります。

 

寝室の環境を整える: 部屋をできるだけ暗くし、静かで快適な温度(夏は26℃、冬は20℃前後が目安)に保ちましょう。

 

寝る前のカフェイン摂取を避ける: コーヒーや緑茶、エナジードリンクに含まれるカフェインは、少なくとも就寝の4〜5時間前からは控えるのが賢明です。

 

最低でも7時間、理想を言えば8時間のまとまった睡眠時間を確保することが、成長への最高の投資になります。

【運動】全身を刺激する他のスポーツやストレッチ

懸垂は上半身、特に背中を鍛えるのに非常に優れた運動ですが、身長の伸びをより効果的に促すには、全身運動も取り入れるのがおすすめです。全身をダイナミックに使うことで、より多くの成長ホルモン分泌が期待でき、全身の骨に適度な刺激を与えることができます。

 

特におすすめなのが、バスケットボールやバレーボール、バドミントンといった、ジャンプする動作が多いスポーツです。ジャンプによって骨にかかる縦方向の適度な刺激(骨軸方向への刺激)が、骨の成長を促すと考えられています。また、水泳のように全身の筋肉をバランス良く使い、浮力によって関節に負担をかけずにできる運動も、成長期の体には非常に優しい選択肢です。

 

さらに、運動後やお風呂上がりのストレッチも忘れずに行いましょう。筋肉の柔軟性を高めて血行を促進し、疲労回復を早めるだけでなく、関節の可動域を広げてしなやかで怪我をしにくい体を作る助けになります。懸垂とこれらの運動、そしてストレッチを組み合わせることで、あなたの体は最高の成長モードに入ることでしょう。

まとめ

 

今回は、「懸垂をすると身長は伸びるのか?」という、多くの高校生が抱く素朴な疑問について、科学的な視点から詳しく掘り下げてきました。

 

結論を改めてお伝えすると、懸垂によって骨自体が直接伸びて身長が高くなる、という効果は残念ながら医学的には証明されていません。しかし、だからといって懸垂が無意味なわけでは決してなく、むしろ成長期の皆さんにとっては素晴らしい味方になってくれます。

 

懸垂には、猫背や巻き肩といった現代的な悩みを改善し、あなたが本来持っている「隠れた身長」を取り戻すという、非常に大きなメリットがあります。さらに、適度な運動として成長ホルモンの分泌を促したり、全身の血行を良くして栄養を届けやすくしたりと、身長が伸びやすい体づくりを強力にサポートしてくれるのです。

 

ただし、最も大切なことは、懸垂を「身長を伸ばす魔法のトレーニング」と過信しないことです。懸垂はあくまで、あなたの努力を後押しする一つの要素として捉えてください。身長を伸ばすために最も重要で、その土台となるのは、やはり「バランスの取れた栄養」「質の高い睡眠」「全身を使った適度な運動」という生活の三本柱を、日々の生活できちんと整えることに他なりません。

 

高校生の成長期は、人生で一度きりの、体が大きく変化する貴重な時間です。周りの友達と比べて焦る気持ちも分かりますが、あなたの体には、まだ伸びる可能性が十分に秘められています。この記事で紹介したことを参考に、懸垂を楽しみながら日々の習慣に取り入れ、生活全体を見直してみてください。一つひとつの小さな積み重ねが、数年後のあなたの姿を、きっと今よりもっと輝く、素晴らしいものに変えてくれるはずです。

 

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