「高校生になって周りの友達に身長を抜かされてしまった」「あと数センチでいいから身長を伸ばしたい」そのように悩んでいる高校生や、お子様の身長を心配されている保護者の方は少なくありません。成長期が終わりに近づく高校生の時期は、身長に対する悩みがいっそう深刻になりやすいタイミングでもあります。
インターネットで身長を伸ばす方法を調べると、「成長ホルモン注射」という言葉を目にすることがあるでしょう。しかし、実際に治療を受けようと考えると、「費用はどれくらいかかるのか」「高校生からでも効果はあるのか」「保険は適用されるのか」といった疑問や不安が次々と浮かんでくるはずです。特に費用面については、インターネット上でも情報が分散しており、具体的なイメージが掴みにくいのが現状です。
この記事では、高校生が成長ホルモン注射を受ける際にかかる費用の相場や、自費診療となる理由、そして治療を検討する上で欠かせない体の仕組みについて、専門的な内容をわかりやすく噛み砕いて解説します。また、注射以外の日常生活で取り組める身長対策についても詳しく紹介していきます。正しい知識を身につけ、悔いのない選択をするための参考にしてください。
高校生の成長ホルモン注射にかかる費用と自費診療の現実

身長を伸ばすための治療として知られる成長ホルモン注射ですが、高校生がこの治療を受ける場合、もっとも大きなハードルとなるのが「費用」です。まずは、なぜ高校生の治療が高額になりやすいのか、そして具体的にどのくらいの金額が必要になるのか、お金に関する現実的な側面を見ていきましょう。
なぜ高校生は「自費診療」になることが多いのか
病院で受ける医療には、健康保険が使える「保険診療」と、全額自己負担となる「自費診療(自由診療)」の2種類があります。風邪や怪我の治療で私たちが普段支払っているのは、原則として3割負担で済む保険診療です。しかし、成長ホルモン治療において保険が適用されるのは、国の定めた非常に厳しい基準を満たした場合に限られます。
具体的には、「成長ホルモン分泌不全性低身長症」や「ターナー症候群」など、特定の病気が原因で身長が伸びないケースです。これらは、血液検査で成長ホルモンの数値が基準値を大きく下回っていることや、染色体の検査などで医学的に診断されます。この診断基準は非常に厳格であり、単に「平均より身長が低い」や「もっと背を高くしたい」という理由だけでは、病気とはみなされません。
多くの高校生が悩んでいるケースの多くは、病気ではなく体質的な低身長や、ごく一般的な成長の範囲内であることがほとんどです。また、高校生になると成長ホルモンの分泌自体は正常範囲であることが多いため、保険適用の対象外となるケースが圧倒的です。そのため、高校生が身長を伸ばす目的で成長ホルモン注射を受ける場合は、健康保険が使えない「自費診療」となることが一般的です。
自費診療では、検査費用から薬剤費、診察料まですべてが10割負担となります。クリニックによって価格設定も自由に決められるため、病院ごとに費用が異なるのも特徴です。これが、高校生の成長ホルモン治療が高額になる最大の理由です。
体重で決まる?具体的な費用の相場
では、実際に自費診療で成長ホルモン注射を行う場合、いくらかかるのでしょうか。費用の大部分を占めるのは、毎日打つことになる「成長ホルモン製剤」の薬剤費です。この薬剤の量は、一律で決まっているわけではなく、患者さんの「体重」に合わせて計算されます。
成長ホルモンの投与量は、体重1キログラムあたりで決められています。つまり、体重が重ければ重いほど、必要な薬剤の量が増え、それに比例して費用も高くなるのです。小学生の低学年であれば体重が軽いため費用も比較的抑えられますが、高校生になると大人の体格に近づき、体重も50キロや60キロを超えることが珍しくありません。
具体的な相場としては、体重や使用する薬剤の種類、クリニックの設定によって幅がありますが、高校生の場合は月額で15万円から30万円程度、場合によっては40万円近くかかることもあります。これを1年間続けると考えると、年間で200万円から400万円、あるいはそれ以上の費用がかかる計算になります。これは決して安い金額ではありません。
また、治療の効果を出すためには、ある程度の期間継続する必要があります。数ヶ月で劇的に伸びる魔法の薬ではないため、年単位での治療計画が必要となり、総額は数百万円規模になることを覚悟しておく必要があります。費用の見積もりは、必ず初診時に医師に確認し、納得した上で治療を開始することが大切です。
診察代や検査費など、薬剤費以外にかかるコスト
成長ホルモン治療にかかる費用は、毎月の薬剤費だけではありません。治療を開始する前の検査や、治療中の定期検診にも費用が発生します。これらのコストも積み重なると大きな金額になるため、あらかじめ把握しておきましょう。
まず、治療を始める前には、本当に成長ホルモン治療が適しているか、まだ身長が伸びる余地があるかを調べるための詳細な検査が必要です。これには、手のレントゲン撮影による骨年齢の測定、血液検査によるホルモン値の測定、尿検査などが含まれます。これらの初診・検査費用だけでも、自費診療の場合は数万円(1万5千円〜5万円程度)かかることが一般的です。
治療が始まってからも、定期的な通院が必要です。通常は1ヶ月に1回程度のペースでクリニックを受診し、身長の計測や副作用が出ていないかのチェック、血液検査などを行います。この再診料や検査料も、毎回数千円から1万円程度かかります。
さらに、遠方の専門クリニックに通う場合は、そこまでの交通費も考慮に入れなければなりません。治療期間が長くなればなるほど、こうした「隠れたコスト」も無視できなくなります。クリニックによっては、診察料を薬剤費に含んでいるところや、別途請求するところなど料金体系が異なるため、ホームページや電話で事前に詳しく確認することをおすすめします。
医療費控除は使える?費用の負担を減らすための知識
年間で数百万円もの費用がかかるとなると、「少しでも負担を減らす方法はないか」と考えるのは当然のことです。そこで知っておきたいのが「医療費控除」の制度です。医療費控除とは、1年間に支払った医療費が一定額(通常は10万円)を超えた場合に、確定申告を行うことで税金の一部が還付されたり、住民税が安くなったりする仕組みです。
「自費診療だから対象外ではないか」と思われるかもしれませんが、国税庁の指針によれば、医師による診療や治療の対価として支払われるものであれば、自費診療であっても医療費控除の対象になる可能性があります。ただし、単なる美容目的(容姿を美しくするためだけの治療)と判断されると対象外になることもあります。
低身長治療の場合、「子供の成長に関する悩みに対する医師による治療」として認められるケースが多いですが、最終的な判断は管轄の税務署が行います。そのため、治療を受けるクリニックの医師に「医療費控除の対象となるような診断書や証明書が出せるか」を事前に確認しておくと安心です。
医療費控除を申請するためには、支払った費用の領収書がすべて必要になります。診察代、薬剤費はもちろん、通院にかかった交通費(電車やバスなどの公共交通機関)の記録も残しておきましょう。少しでも家計の負担を軽減するために、領収書は大切に保管し、制度を賢く利用してください。
治療を始める前に知っておきたい「骨端線」と成長の仕組み

費用について理解したところで、次に重要になるのが「医学的に身長が伸びるとはどういうことか」という点です。特に高校生の場合、体の成長サイクルは終盤に差し掛かっています。ここで鍵を握るのが「骨端線(こったんせん)」という言葉です。治療の効果を左右するこの仕組みについて詳しく解説します。
身長が伸びるラストスパート!骨端線(こったんせん)とは
私たちの身長が伸びるとき、骨はどのように長くなっているのでしょうか。実は、骨の全体が均等に伸びているわけではありません。骨の両端(関節の近く)には、「骨端線」と呼ばれる軟骨の層があります。この部分は別名「成長線」とも呼ばれ、ここにある軟骨細胞が増殖し、それが硬い骨に置き換わっていくことで、骨が長くなり、結果として身長が伸びます。
つまり、身長が伸びるということは、この骨端線が活発に働いている状態を指します。子供のレントゲン写真を見ると、骨と骨の間に隙間があるように見えますが、これが骨端線が開いている状態です。この隙間がある限り、身長が伸びる可能性があります。
しかし、大人になるとこの軟骨層はすべて硬い骨に変化し、骨端線は閉じて見えなくなります。一度骨端線が閉じてしまうと、いくら成長ホルモンを投与しても、骨を長くすることは物理的に不可能になります。これが、身長の伸びにはタイムリミットがあると言われる理由です。
高校生の時期は、まさにこの骨端線が閉じるか閉じないかの瀬戸際、いわば「ラストスパート」の時期にあたります。そのため、治療を検討する際には、まず自分の骨端線がどのような状態にあるかを知ることが何よりも先決となります。
男子と女子で違う?成長が止まる平均的な時期
骨端線が閉じる時期、つまり身長の伸びが止まる時期には、性別によって平均的な傾向があります。一般的に、女子の方が男子よりも早く思春期を迎え、早く成長が止まる傾向にあります。
女子の場合、乳房の発達などの二次性徴が始まってから数年後に初潮を迎えますが、初潮が来ると成長のスピードは急速に緩やかになります。個人差はありますが、骨年齢でいうと15歳前後で骨端線が閉じることが多いとされています。高校1年生の段階で、すでに身長の伸びが完全に止まっている女子も少なくありません。
一方、男子の場合は女子よりも2年ほど遅れて思春期が進行します。声変わりや髭が生えるなどの変化が現れ、骨年齢でいうと17歳前後で骨端線が閉じることが一般的です。高校生男子であれば、まだわずかに骨端線が開いており、伸びる余地が残されている可能性も女子よりは高いと言えます。
ただし、これらはあくまで平均的な目安に過ぎません。高校生になってもまだ幼さが残る晩熟タイプの子もいれば、中学生ですでに大人の骨格完成している早熟タイプの子もいます。暦の年齢(実年齢)と、骨の成熟度合い(骨年齢)は必ずしも一致しないため、年齢だけで「もう無理だ」と決めつけたり、「まだ大丈夫」と安心したりすることはできません。
レントゲン検査でわかる「治療の可能性」
自分自身の骨端線がまだ開いているのか、それとも閉じてしまっているのかを確認する唯一の方法が、医療機関でのレントゲン検査です。通常は左手の指や手首の骨を撮影し、その画像をもとに医師が「骨年齢」を診断します。
この検査を受けることで、「あとどれくらい伸びる余地があるか」の予測がより具体的になります。もしレントゲン画像で骨端線がくっきりと残っていれば、成長ホルモン注射による効果が期待できるかもしれません。逆に、骨端線が薄くなっていたり、完全に閉じて一本の骨になっていたりする場合は、残念ながら成長ホルモン治療の効果は期待できないと判断されます。
多くのクリニックでは、骨端線が閉じていることが確認された時点で、成長ホルモン治療はお勧めできないと説明されます。高額な費用をかけても効果が出ない可能性が高いためです。高校生が治療を希望する場合、まずはこの検査を受け、客観的な事実に基づいて治療の可否を判断することが、無駄な出費や健康リスクを避けるための第一歩となります。
成長ホルモンと性ホルモンの複雑な関係
身長の伸びには、成長ホルモンだけでなく「性ホルモン」も深く関わっています。思春期に身長が急激に伸びる時期(成長スパート)は、性ホルモンの分泌が増えることによって引き起こされます。性ホルモンは、一時的に身長の伸びを加速させる強力なアクセルの役割を果たします。
しかし同時に、性ホルモンには「骨端線を閉じる」というブレーキの役割も持っています。思春期が進み、性ホルモンが体内で大量に分泌され続けると、骨の成熟が早まり、結果として骨端線が閉じて身長の伸びが止まります。
高校生の場合、すでに思春期が進んでいるため、体内では性ホルモンが活発に働いています。この状態で成長ホルモンだけを注射しても、性ホルモンの作用で骨端線がどんどん閉じていってしまえば、十分な効果を得る前に成長が終了してしまいます。
そのため、専門的な自費診療を行うクリニックの中には、成長ホルモン注射と併用して、性ホルモンの働きを抑える薬(思春期を遅らせる治療)を使用するケースもあります。ただし、これも体の仕組みに大きく介入する治療であり、費用もさらに高額になるため、慎重な判断と高度な専門知識が必要となります。
自費で成長ホルモン療法を行う際の流れと注意点

「費用はかかるが、可能性にかけてみたい」「まずは検査だけでも受けたい」と考えた場合、実際にどのような流れで治療が進んでいくのでしょうか。ここでは、クリニック選びから実際の治療プロセス、自宅での管理について解説します。
クリニック選びは「専門医」がいるかどうかを重視する
自費診療による成長ホルモン治療は、美容外科や整形外科、内科など、さまざまなクリニックで行われています。しかし、どこで受けても同じというわけではありません。成長ホルモンは体の代謝や機能に大きく関わるホルモンであり、適切な診断と管理が必要です。
クリニックを選ぶ際は、「小児内分泌」や「成長障害」を専門とする医師が在籍しているかどうかを確認しましょう。専門医は、ホルモンの仕組みや副作用のリスク、成長曲線の見方などに精通しており、単に薬を処方するだけでなく、医学的根拠に基づいたアドバイスをしてくれます。
また、自費診療専門のクリニックの中には、メリットばかりを強調し、リスクや限界についての説明が不十分なところも稀に存在します。初診時のカウンセリングで、副作用や「効果が出ない可能性」についても正直に説明してくれる医師を選ぶことが、信頼できる医療機関を見極めるポイントです。
初診から治療開始までの具体的なステップ
一般的な治療の流れは以下のようになります。
まず、電話やWEBで予約を取り、初診に向かいます。初診では、問診票にこれまでの身長の記録(母子手帳や学校の健康診断の結果など)を記入し、医師による診察を受けます。その後、レントゲン撮影と血液検査を行い、骨年齢やホルモンの状態を詳細に調べます。
後日(数日〜1週間後)、検査結果を聞くために再度受診します。ここで骨端線の状態や血液データを踏まえ、治療が可能かどうかの判定が下されます。治療が可能と判断され、本人と保護者が同意すれば、治療がスタートします。
治療開始時には、注射器の使い方や薬剤の保管方法について、看護師や医師から詳しい指導を受けます。最初は不安かもしれませんが、最近の注射器はペン型で扱いやすく、痛みも少ないように改良されています。実際にクリニックで練習を行い、自信を持って打てるようになってから薬剤を持ち帰ります。
自宅で行う「自己注射」の方法と管理のポイント
成長ホルモン治療は、基本的に自宅で毎日、自分(または保護者)で注射を行う「自己注射」が原則です。通院して注射を打ってもらうわけではありません。「毎日注射なんて怖い」と思うかもしれませんが、使用する針は蚊の針のように極めて細く、痛みはほとんど感じないという人が大半です。
注射を打つタイミングは、就寝前が推奨されています。成長ホルモンは夜寝ている間に多く分泌されるため、そのリズムに合わせるのが効果的だからです。お腹や太もも、お尻など、皮下脂肪のある場所に場所を変えながら打ちます。
薬剤は温度変化に敏感なため、冷蔵庫での保管が必須となる製品が多いです。旅行や修学旅行などで持ち運ぶ際は、保冷バッグを使用するなど、温度管理には細心の注意を払う必要があります。毎日のルーティンとして習慣化することと、適切な薬剤管理が治療の鍵となります。
治療期間の目安と終了のタイミング
治療を始めたら、いつまで続けることになるのでしょうか。これは「骨端線が閉じるまで」というのが一つの明確なゴールです。定期的なレントゲン検査で骨端線の状態を確認し、完全に閉じたと判断されれば、それ以上続けても効果は見込めないため治療終了となります。
また、一定期間(例えば半年や1年)治療を続けても、期待したほどの身長の伸びが見られない場合も、中止を検討するタイミングです。成長ホルモン注射には「反応が良い人」と「あまり反応しない人」の個人差があります。効果が見えにくいのに高額な費用を払い続けるのは負担が大きいため、医師と相談しながら継続の可否を判断していくことになります。
高校生から開始する場合、骨端線が閉じるまでの残り時間が短いため、治療期間は1年〜2年程度となるケースが多いでしょう。限られた時間の中で最大限の効果を目指す、集中治療のようなイメージになります。
成長ホルモン注射の効果・副作用・リスクの真実

高額な費用をかけて行う治療だからこそ、その効果とリスクについては正しく理解しておく必要があります。夢のような効果を期待しすぎて後悔しないよう、現実的な側面を知っておきましょう。
高校生から始めて実際にどれくらい伸びるのか
最も気になるのは「結局、何センチ伸びるのか」という点でしょう。しかし、これには明確な答えがありません。治療開始時の年齢、骨年齢、分泌されているホルモンの量、遺伝的な要素など、条件が一人ひとり全く異なるからです。
一般的に、成長ホルモン治療は開始時期が早ければ早いほど(骨端線が広く開いているほど)効果が高いとされています。そのため、骨端線が閉じかけている高校生からスタートした場合、小学生から始めた場合に比べて、伸び率は限定的になる傾向があります。
年間で数センチの上乗せ効果が得られるケースもあれば、ほとんど変化がないケースもあります。医師から提示されるのはあくまで「予測」や「期待値」であり、結果を保証するものではありません。「絶対にあと5センチ伸びる」といった確約はできない治療であることを理解しておく必要があります。
糖尿病や関節痛など、知っておくべき副作用
成長ホルモンは、身長を伸ばすだけでなく、体内の糖代謝や水分バランスにも影響を与えます。そのため、副作用のリスクもゼロではありません。
代表的な副作用として挙げられるのが、血糖値の上昇です。成長ホルモンにはインスリンの働きを弱める作用があるため、糖尿病のリスクがある体質の人は注意が必要です。また、体内の水分が貯留しやすくなり、手足のむくみ(浮腫)が出ることがあります。
急激に骨が成長することに伴い、関節痛(成長痛のような痛み)が生じることもあります。さらに、稀ではありますが、手根管症候群(手首の神経が圧迫されて痺れる病気)や、背骨が曲がる側弯症の進行などが報告されることもあります。これらの変化を早期に発見するためにも、定期的な検診は絶対に欠かせません。
過剰摂取のリスクと医師によるモニタリングの重要性
「たくさん打てば、もっと伸びるのではないか」と考えるのは危険です。成長ホルモンを必要以上に体に入れると、副作用のリスクが跳ね上がるだけでなく、先端巨大症(アクロメガリー)のような、顎や手足の先だけが肥大する症状を引き起こす可能性があります。
また、細胞の増殖を促すホルモンであるため、もし体内に悪性の腫瘍(がん)があった場合、その増殖まで早めてしまうリスクも理論上は懸念されています。そのため、がんの既往歴がある場合は治療ができません。
適切な投与量を守り、血液検査でIGF-1(ソマトメジンC)という数値をモニタリングしながら、体が安全な範囲で反応しているかを常に監視することが、医師の重要な役割です。自己判断での増量は絶対に避けてください。
効果が出なかった場合の心のケアと向き合い方
高校生にとって、身長の悩みはアイデンティティに関わる深刻な問題です。しかし、高額な治療を受けても、骨端線の状態によっては思うような結果が出ないこともあります。その時の失望感は計り知れません。
治療を受ける前には、「もし伸びなくても、やれるだけのことはやったと納得できるか」を親子で話し合うことが大切です。「身長はあくまで個性の一つ」「身長以外にも自分の魅力はある」といった自己肯定感を持ち続けることが、これからの人生において重要になります。治療はあくまで選択肢の一つであり、全てではないことを心に留めておいてください。
身長を伸ばすために日常生活で今日からできること

成長ホルモン注射はハードルが高い、あるいは検査の結果適応外だったとしても、諦める必要はありません。身長の伸びをサポートするために、日常生活でできることはまだ残されています。これらは注射と併用することで、より良い結果につながる土台ともなります。
「寝る子は育つ」は本当?成長ホルモンと睡眠の深い関係
昔から言われる「寝る子は育つ」は、科学的にも正しい事実です。成長ホルモンは、日中起きている間はほとんど分泌されず、夜間の睡眠中に集中的に分泌されます。特に、眠りについてから最初に訪れる深い眠り(ノンレム睡眠)の時に、最大の分泌の波がやってきます。
高校生になると、勉強やスマホ、部活動などで睡眠時間が短くなったり、夜更かし型になったりしがちです。しかし、睡眠不足は成長ホルモンの分泌チャンスを自ら捨てているようなものです。日付が変わる前にベッドに入り、部屋を真っ暗にして、質の高い睡眠を確保することが、身長を伸ばすための最強の「天然の注射」となります。
寝る直前のスマホ操作は、ブルーライトの影響で脳を覚醒させ、深い睡眠を妨げます。寝る1時間前にはスマホを手放し、リラックスして入眠の準備を整える習慣をつけましょう。
骨の材料になる栄養素と食事のバランス
成長ホルモンが分泌されても、骨を作るための「材料」が足りなければ身長は伸びません。骨の主な材料といえばカルシウムを思い浮かべる人が多いですが、実はそれだけでは不十分です。
骨の土台となるのは「タンパク質(コラーゲン)」です。鉄筋コンクリートの建物で例えるなら、タンパク質が鉄筋で、カルシウムがコンクリートの役割を果たします。どちらが欠けても丈夫で長い骨は作られません。肉、魚、卵、大豆製品などのタンパク質を毎食しっかり摂ることが重要です。
さらに、カルシウムの吸収を助けるビタミンD(魚やキノコ類、日光浴で生成)、骨の形成を調整するマグネシウム(海藻やナッツ類)、細胞分裂を促す亜鉛(牡蠣や牛肉)など、さまざまな栄養素がチームプレーで骨を成長させます。ファストフードやスナック菓子ばかりの食事では、これらの栄養素が圧倒的に不足してしまいます。
運動が骨端線に与えるポジティブな刺激
適度な運動も、骨の成長には欠かせない要素です。運動によって骨端線に縦方向の刺激(ジャンプやランニングなどの衝撃)が加わると、軟骨細胞の働きが活発になると言われています。また、運動による程よい疲労は、夜の深い睡眠を誘い、成長ホルモンの分泌を促すという好循環を生みます。
バスケットボールやバレーボールが良いとよく言われますが、これに限らず、全身を使う運動であれば何でも効果的です。ただし、過度な筋力トレーニングや、エネルギー不足になるほどの激しい運動は、かえって成長の妨げになることもあるため、栄養補給と休息のバランスを意識して楽しみながら体を動かしましょう。
注射が難しい場合に検討したい選択肢
ここまで読んで、「注射は費用的に難しい」「副作用が心配」「病院に行く時間がない」と感じた方もいるかもしれません。また、食事だけで必要な栄養素をすべてカバーするのは、忙しい高校生や食事を作る保護者にとって簡単なことではありません。
そうした場合には、不足しがちな栄養素を効率よく補える「身長サポートサプリメント」を活用するのも一つの賢い選択肢です。医療的な治療とは異なり、即効性や劇的な変化を約束するものではありませんが、体が成長しようとする力を栄養面から底上げする役割が期待できます。
特に、成長期に必要なタンパク質(アミノ酸)、カルシウム、ビタミン類などがバランスよく配合されたものであれば、日々の食事の偏りを補う心強い味方になります。「あと少し」の可能性を信じて、生活習慣の改善とともに取り入れてみるのも良いでしょう。
まとめ
高校生が成長ホルモン注射を検討する際、もっとも大きな壁となるのは「費用」と「骨端線の閉鎖」です。保険適用外の自費診療となるため、年間で数百万円規模の費用がかかることを理解しておく必要があります。
また、高校生は成長のラストスパート時期であり、骨端線が閉じている場合は治療の効果が期待できません。まずは専門クリニックでレントゲン検査を受け、自分の骨の状態を客観的に把握することから始めましょう。
治療を受ける受けないにかかわらず、睡眠・栄養・運動といった生活習慣は身長を伸ばすための基本です。これらを整えた上で、必要に応じてサプリメントなどのサポートも活用し、悔いのない成長期を過ごしてください。



