「将来はパイロットになりたいけれど、身長が低いから無理かもしれない」と悩んでいませんか?パイロットという職業は、なんとなく背が高くて体格が良い人がなるものだというイメージがあるかもしれません。特に成長期の中学生や高校生にとって、身長の悩みは夢を追いかける上で大きな壁に感じられることでしょう。
しかし、あきらめるのはまだ早いです。実は今、パイロットになるための身長基準に大きな変化が起きています。長年続いてきたルールが見直され、より多くの人に空への道が開かれようとしているのです。
この記事では、航空大学校の最新の身長制限事情や、航空会社ごとの基準、そして夢を叶えるために今からできる対策について、やさしくわかりやすく解説します。正しい情報を知って、自信を持って夢に向かって進んでいきましょう。
航空大学校の身長制限がついに撤廃!最新ニュースをチェック

パイロットを目指す多くの学生が目標とする「航空大学校」。公的な養成機関であるため、学費を抑えながらライセンスを取得できるのが魅力ですが、これまでは厳格な身体検査基準がありました。しかし、その基準に今、歴史的な変更が加えられようとしています。
令和8年度からの大きな変更点とは
これからパイロットを目指す皆さんにとって、非常に嬉しいニュースがあります。航空大学校は、令和8年度(2026年度)の入学者選抜から、身長制限を撤廃する方針を固めました。
これは、これまで応募資格の一つとして設けられていた「身長の数値基準」がなくなることを意味します。具体的には、入学試験の募集要項から身長に関する制限の記述が削除される見込みです。この変更は、性別や体格に関わらず、能力と情熱がある人材により広く門戸を開くための画期的な決定と言えます。これから受験を控えている中学生や高校生にとっては、まさに追い風となるニュースでしょう。
これまでの「158cm以上」という基準
では、これまではどのような基準があったのでしょうか。変更前までは、航空大学校の受験資格として「身長158cm以上」という明確な条件がありました。
たった1cmでも足りなければ、どんなに勉強ができても、どんなに空を飛びたいという熱意があっても、受験することさえ許されなかったのです。この基準は長年、小柄な男性や多くの女性にとって大きな壁となってきました。「158cm」という数字は、航空機のコックピットの設計基準や、緊急時の操作性を考慮して設定されていたと言われていますが、時代の変化とともに見直しの声が高まっていたのです。
なぜ身長制限がなくなるの?その背景
なぜ今、このタイミングで身長制限が撤廃されることになったのでしょうか。主な理由の一つに、国土交通省が進める「女性パイロットの活躍推進」があります。
現在、日本の女性パイロットの割合は世界的に見てもまだ低い水準にあります。身長制限が女性の受験者数を制限してしまっているという指摘があり、より多くの女性がチャレンジできるように制度が見直されました。もちろん、これは女性だけでなく、身長が伸び悩んでいる男子学生にとっても大きなチャンスとなります。航空機の技術進歩により、座席やペダルの調整機能が向上したことも、この判断を後押しした要因の一つと考えられます。
新たに導入される「操縦姿勢確認」とは
「身長制限がなくなるなら、どんなに背が低くても大丈夫なの?」と思うかもしれませんが、一つ注意点があります。数値による足切りはなくなりますが、その代わりに「操縦姿勢確認」というチェックが導入される予定です。
これは、実際にフライトシミュレーターなどの座席に座り、安全に操縦できる姿勢がとれるかどうかを確認するものです。具体的には、座席を一番前に出した状態で足がラダーペダルにしっかり届くか、計器類が見えるか、手がスイッチに届くかなどをチェックします。つまり、「何センチ以上」という数字ではなく、「実際に操縦できる体格かどうか」という実質的な基準に変わるのです。
航空身体検査マニュアルに身長の規定はある?

パイロットになるためには、航空大学校の入試だけでなく、国が定めた「航空身体検査」に合格しなければなりません。では、この国の法律に基づく検査基準には、身長に関する規定はあるのでしょうか。
国の基準(法律)に身長制限はない
意外に思われるかもしれませんが、日本の法律である航空法に基づく「航空身体検査マニュアル」には、民間パイロット(第一種および第二種航空身体検査)に関する明確な身長の数値基準は記載されていません。
マニュアルには「航空業務に支障を来すおそれのある身体の欠陥がないこと」といった表現はありますが、「身長は○○cm以上でなければならない」という具体的な数字はないのです。つまり、法的な観点だけで言えば、身長が低くてもライセンスを取得すること自体は可能です。ただし、自衛隊のパイロット(航空学生など)に関しては、独自の基準として身長制限(例:158cm〜190cmなど)が設けられている場合があるため、混同しないように注意が必要です。
視力や聴力など、身長以外の重要な検査項目
身長の規定がない一方で、航空身体検査ではその他の項目が非常に厳しくチェックされます。特に重要なのが「視力」です。裸眼視力が悪くても、メガネやコンタクトレンズを使って基準(各眼0.7以上、両眼1.0以上など)を満たせば合格できますが、目の病気や視野の異常は不合格の原因となります。
また、聴力、平衡感覚、呼吸器、循環器(心臓など)、消化器など、全身の健康状態が詳しく検査されます。パイロットは上空という特殊な環境で仕事をするため、気圧の変化に耐えられる体であることや、急な病気で操縦不能になるリスクがないことが求められるのです。身長を気にするあまり、他の健康管理がおろそかにならないようにしましょう。
健康な体を維持するためのポイント
航空身体検査に合格するためには、日頃の健康管理が欠かせません。中高生の皆さんにとっては当たり前のことかもしれませんが、規則正しい生活を送ることが何よりの対策になります。
暴飲暴食を避けて適正体重を維持すること、スマホやゲームのしすぎで目を酷使しないこと、そして十分な睡眠をとることが大切です。特に、アレルギー性鼻炎や喘息などの慢性的な症状がある場合は、早めに医師に相談し、適切な治療を受けてコントロールできるようにしておくことが、将来の検査合格につながります。健康な体は、一朝一夕で作れるものではありません。
もし不安な点がある場合の相談先
「自分の体で検査に通るのか不安」という場合は、専門の医療機関で事前に相談することができます。航空身体検査を行っている指定機関(病院やクリニック)では、実際にパイロットが受ける検査に近い内容を事前にチェックしてくれるところもあります。
これを「予備検査」や「事前検査」と呼びます。もし何か問題が見つかっても、早期に対策を立てたり、治療を開始したりすることで、本番までに改善できるケースも少なくありません。不安を抱えたまま過ごすよりも、一度専門医のアドバイスを受けてみると、安心して勉強や訓練に集中できるはずです。
JAL・ANAなど航空会社の自社養成パイロットの基準

航空大学校以外にも、航空会社に入社してから訓練を受ける「自社養成パイロット」という道があります。JAL(日本航空)やANA(全日本空輸)といった大手航空会社では、どのような基準を設けているのでしょうか。
大手航空会社の募集要項に身長制限はあるか
JALやANAなどの大手航空会社が実施している自社養成パイロットの募集要項を確認してみると、ここでも「身長○○cm以上」という具体的な数値は記載されていないことが一般的です。
応募資格には「航空法に定められた身体検査基準を満たすこと」や「矯正視力が一定以上であること」などは書かれていますが、身長による足切りは明記されていません。これは、企業側が「数値だけで判断せず、人物重視で採用したい」と考えていることや、航空機の設計が多様化していることが理由と考えられます。したがって、募集要項を見る限りでは、身長が理由でエントリーできないということはありません。
採用試験で見られる「身体的適性」
しかし、募集要項に書いていないからといって、身体的な条件が全く考慮されないわけではありません。採用選考の過程には必ず「身体検査」が含まれています。
この段階で、航空大学校と同様に、シミュレーターなどを用いた適性確認が行われる可能性があります。座席に座って無理なく操縦かんやペダルを操作できるか、外の景色と計器類を適切に確認できるかといった点は、安全運航に直結するため厳しくチェックされます。航空会社としては、入社後に多額の費用をかけて訓練を行うため、訓練に支障が出る可能性がないかを慎重に見極める必要があるのです。
航空大学校と自社養成の違い
航空大学校と自社養成パイロットの大きな違いは、「就職の確約」と「費用」です。航空大学校は卒業後に各航空会社への就職を目指しますが、自社養成は最初から航空会社の社員として採用されます。
身体基準という点では、自社養成の方が企業ごとのポリシーが反映されやすい傾向にあります。例えば、特定の機種を多く保有している会社であれば、その機種のコックピットサイズに適合するかどうかが重視されるかもしれません。一方、航空大学校は国の基準に準拠する傾向が強いため、今回のような「制限撤廃」の動きが明確にルール化されやすいという特徴があります。
LCCや外資系航空会社の傾向
最近増えているLCC(格安航空会社)や外資系航空会社の場合も、基本的には法的な身体検査基準に準じます。ただ、海外の航空会社では、身長制限に対してより柔軟なケースもあれば、逆に使用する機材の関係で厳しいケースもあり、一概には言えません。
例えば、アメリカ空軍などでは、パイロット不足解消のために身長制限を撤廃・緩和する動きが進んでおり、これが世界の航空業界全体の流れに影響を与えています。LCCは様々な機種を使用するため、会社によって基準が異なる可能性がありますが、「安全に操縦できること」が最優先である点はどこも共通しています。
ポイント:
大手航空会社の募集要項にも具体的な身長制限の数値はない。
ただし、実技に支障がないかのチェックは選考過程で行われる。
コックピットの設計と「届く・届かない」の現実

そもそも、なぜ身長が問題になるのでしょうか。それは飛行機の操縦席(コックピット)が、ある一定の体格範囲を想定して設計されているからです。ここでは、コックピットの物理的な環境について解説します。
飛行機の操縦席はどのくらいのサイズで作られている?
旅客機の多くは、ボーイング社(アメリカ)やエアバス社(ヨーロッパ)によって製造されています。これらの航空機メーカーは、世界中の様々なパイロットが操縦することを想定してコックピットを設計しています。
一般的に、設計の基準となる身長は「約158cm〜190cm程度」と言われることが多いです。これは、欧米人の体格データをベースにしているためです。この範囲内であれば、座席の位置を調整することで快適に操縦できるように作られています。しかし、この範囲を大きく外れると、設計上の想定外となり、操作に不便が生じる可能性があるのです。
手足が届かないと困る具体的な操作
身長が低い場合に特に問題となるのが、「ラダーペダル」への足つきです。ラダーペダルは足元にあり、機首の向きを左右に変えたり、地上走行時のブレーキ操作に使ったりする重要な装置です。
もし足がしっかり届かないと、ペダルを一番奥まで踏み込むことができません。特に、強い横風の中での着陸や、片方のエンジンが停止した際の緊急操作では、ペダルをいっぱいに踏み込む力が必要になります。また、頭上のスイッチパネルや、離れた位置にあるレバー類に手が届かないと、とっさの操作が遅れてしまうリスクもあります。これが「届く・届かない」が重要視される理由です。
座席の調整機能でどこまでカバーできるか
もちろん、飛行機の座席は車と同じように調整が可能です。前後へのスライドはもちろん、高さの調整(上下)、背もたれの角度、さらにはペダル自体の位置を前後に調整できる機能を持つ機種もあります。
最近の最新鋭機では、これらの調整幅が広くなっており、より小柄な人でも最適なポジションを取れるようになってきています。航空大学校で身長制限が撤廃されたのも、こうした機材側の進化によって、小柄な人でも安全に操縦できる可能性が広がったことが背景にあります。
小柄なパイロットが工夫していること
実際に現場で活躍している小柄なパイロットたちは、様々な工夫をしています。例えば、座席の後ろに専用のクッションを挟んで背中を前に出し、足がペダルに届きやすくする調整を行うことがあります。
これは航空会社によって認められている公式な調整方法の一つです。自分に合った操縦ポジション(アイポイント)を見つけることは、パイロットの基本技術の一つでもあります。体格のハンデを、こうした準備や工夫、そして確かな操縦技術でカバーして活躍している先輩パイロットはたくさんいます。
将来パイロットを目指す中高生が今やるべきこと

身長制限が撤廃される方向とはいえ、体格が良いことが有利であることに変わりはありません。また、身長だけでなく、健康で丈夫な体を作ることはパイロットへの第一歩です。ここでは、将来のために今からできる対策を紹介します。
成長期の今だからできる体づくり
中学生や高校生の時期は、一生のうちで体が最も成長する「成長期」のラストスパートにあたります。この時期にどのような生活を送るかが、最終的な身長や体格に大きく影響します。
「遺伝だから仕方ない」と諦めてしまうのはもったいないことです。身長が伸びるメカニズムには、遺伝だけでなく、生活環境も大きく関わっています。骨端線(こったんせん)と呼ばれる骨の成長部分が閉じきる前に、できる限りのアプローチをしておくことが、将来の可能性を1ミリでも広げることにつながります。
栄養バランスの良い食事と睡眠の質
体を成長させるための材料は、毎日の食事からしか得られません。特に、骨や筋肉の材料となるタンパク質、骨を強くするカルシウム、そしてそれらの吸収を助けるビタミン類(特にビタミンDや亜鉛など)をバランスよく摂取することが重要です。
また、「寝る子は育つ」という言葉通り、成長ホルモンは睡眠中に最も多く分泌されます。夜更かしをせず、質の高い深い睡眠をとるように心がけましょう。忙しい部活や勉強の合間でも、食事と睡眠をおろそかにしないことが、パイロットという夢への投資になります。
メモ:
食事だけで必要な栄養素をすべて摂るのが難しい場合は、成長期向けの栄養補助食品などを上手に活用するのも一つの方法です。不足しがちな栄養を補うことで、体の成長をサポートできます。
姿勢を良くして身長を最大限に活かす
意外と見落としがちなのが「姿勢」です。スマホを見る時間が長い現代の中高生は、猫背やストレートネックになりがちです。姿勢が悪いと、本来の身長よりも低く見えてしまうだけでなく、健康診断での測定値も損をしてしまいます。
背筋をピンと伸ばすだけで、身長の測定結果が1〜2cm変わることは珍しくありません。また、正しい姿勢はコックピットに座った時の視界確保や、腰への負担軽減にも役立ちます。日頃からストレッチを行い、体の歪みを整えておくことは、今すぐできる最も効果的な「身長対策」の一つです。
勉強と英語力の向上も忘れずに
最後に、体づくりと同じくらい大切なのが勉強です。パイロットになるためには、数学や物理の知識、そして何より高い英語力が求められます。
航空大学校の入試でも、学力試験のウェイトは大きいです。身長制限が撤廃されてライバルが増えるこれからは、より一層学力が重要になるかもしれません。体格のことは日々の生活習慣でケアしつつ、変えられないことに悩みすぎるよりも、努力で確実に伸ばせる学力や語学力を磨くことにエネルギーを注ぎましょう。
まとめ
パイロットを目指す皆さんにとって、身長の悩みは非常に切実な問題だったと思います。しかし、これまでの常識は変わりつつあります。
記事の要点振り返り
- 航空大学校では、令和8年度(2026年度)入試から身長制限(158cm以上)が撤廃される見込み。
- 代わりに、シミュレーター等で実際に手足が届くかを確認する「操縦姿勢確認」が導入される。
- 国の基準や大手航空会社の自社養成には、もともと明確な身長の数値基準はない。
- コックピットは一定のサイズで作られているため、体づくりや姿勢の改善は依然として大切。
- 成長期の今だからこそ、食事・睡眠・運動などの生活習慣を見直すことが夢への近道。
「身長が低いからパイロットになれない」という時代は終わりを告げようとしています。大切なのは、センチ単位の数字よりも、安全に空を飛ぶための技術と健康な体、そして「絶対にパイロットになりたい」という強い気持ちです。
今できる準備を一つずつ積み重ねて、大空への切符を掴み取ってください。あなたの夢が叶うことを応援しています。




