成長期のお子さんを持つ親御さんにとって、毎日の食事や栄養バランスは非常に気になるテーマではないでしょうか。「身長を伸ばしたい」「丈夫な体を作りたい」という願いは、親にとっても本人にとっても切実なものです。しかし、食事の内容には気を使っていても、「飲み物」にまでしっかりと意識を向けられているご家庭は意外と少ないかもしれません。実は、毎日何気なく口にしている水分が、成長期の体の発達に大きな影響を与えていることをご存知でしょうか。
私たちの体は、その大半が水でできています。特に代謝が活発な中学生や高校生の時期において、水分は単なる喉の渇きを潤すだけのものではなく、栄養を全身に運び、成長ホルモンの働きを支える重要な役割を担っています。一方で、選び方を間違えると、せっかく摂った栄養の吸収を邪魔してしまったり、成長に必要なホルモンの分泌を妨げてしまったりすることさえあるのです。
この記事では、水、お茶、ジュースといった身近な飲み物が、それぞれ成長期の体にどのような影響を与えるのかを詳しく解説します。正しい知識を身につけ、日々の水分補給を「成長の味方」に変えていきましょう。今日からすぐに実践できる具体的な選び方や飲み方のコツもご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
なぜ水分補給が「成長」にとって重要なのか

「たかが水、されど水」という言葉があるように、水分補給は私たちの生命活動の根本を支えています。特に体が急激に変化し、骨や筋肉が発達していく成長期において、水分が果たす役割は計り知れません。栄養豊富な食事を摂っていても、体内の水分が不足していれば、その栄養素は十分に力を発揮できないのです。ここでは、なぜ水分補給が成長期においてこれほどまでに重要視されるのか、そのメカニズムを紐解いていきましょう。
血液の巡りと栄養運搬の役割
私たちが食事から摂取したタンパク質やカルシウム、ビタミンといった栄養素は、消化吸収された後、血液に乗って全身の細胞へと運ばれます。骨が伸びる、筋肉がつくと、これらはすべて細胞分裂の繰り返しによって行われますが、その材料となる栄養素を現場まで届けているのが血液です。そして、その血液の成分の半分以上は「水」で構成されています。
もし体内の水分が不足して脱水気味になると、血液の濃度が高くなり、ドロドロとした流れにくい状態になってしまいます。すると、体の隅々までスムーズに栄養を届けることが難しくなり、骨や筋肉の成長に必要な材料が不足してしまう可能性があります。どんなに良い食事やサプリメントを摂っていたとしても、それを運ぶためのトラックである「血液」の流れが悪ければ、十分な効果は期待できません。サラサラの血液を保ち、栄養を効率よく運搬するためには、こまめな水分補給が欠かせないのです。
成長ホルモンと深睡眠の関係
身長を伸ばすために欠かせない「成長ホルモン」は、主に夜寝ている間に分泌されます。特に、眠りについてから最初に訪れる深い睡眠(ノンレム睡眠)の間に、1日の中で最も多くの成長ホルモンが分泌されると言われています。この深い睡眠を確保するためには、睡眠中の体温調節がスムーズに行われる必要がありますが、ここでも水分が重要な役割を果たしています。
人は寝ている間に、コップ1杯分以上の汗をかくと言われています。この発汗によって体温を下げ、深い眠りへと誘導しているのですが、体内の水分が不足していると、うまく汗をかいて体温を調節することができず、睡眠の質が低下してしまうことがあります。睡眠が浅くなれば、当然ながら成長ホルモンの分泌量にも悪影響を及ぼしかねません。質の高い睡眠を確保し、成長ホルモンを最大限に分泌させるためにも、日中からしっかりと水分を摂り、体を潤しておくことが大切です。
脱水が招くパフォーマンス低下とケガのリスク
部活動やスポーツに打ち込む中高生にとって、水分不足はパフォーマンスの低下に直結する大問題です。体重のわずか2%の水分が失われるだけで、持久力や判断力、集中力が著しく低下すると言われています。これはスポーツの場面だけでなく、日々の勉強や授業中の集中力にも同じことが言えます。「なんとなく体がだるい」「集中できない」という原因が、実は水分不足にあることも少なくありません。
さらに、筋肉や腱、関節のクッションとなる軟骨なども、多くの水分を含んでいます。水分が十分に保たれている筋肉は、みずみずしいゴムのように柔軟性があり、衝撃を吸収してくれます。しかし、乾燥した筋肉は硬くなり、柔軟性が失われるため、肉離れや捻挫などのケガをしやすくなってしまいます。成長期の体は骨の成長に筋肉の伸びが追いつかず、ただでさえ負担がかかりやすい状態です。ケガで運動ができなくなると、骨への物理的な刺激が減り、成長の機会を逃すことにもつながりかねません。ケガ予防の観点からも、水分補給は非常に重要なのです。
中学生・高校生に必要な1日の水分量目安
では、具体的にどれくらいの水分を摂れば良いのでしょうか。成長期の中学生や高校生の場合、体の大きさや活動量にもよりますが、大人と同等かそれ以上の水分代謝を行っています。一般的に、食事から摂取する水分とは別に、飲み水として1日に「1.5リットルから2リットル」程度の摂取が推奨されています。
特に運動部に所属している場合や、夏の暑い時期には、汗として失われる水分量が跳ね上がります。その場合は、さらにプラスして水分を補う必要があります。ただし、一度に大量に飲んでも体は吸収しきれず、尿として排出されてしまうだけです。「喉が渇いた」と感じたときには、すでに体は脱水状態になり始めています。1.5リットルという量を目標にしつつ、コップ1杯程度の水を1日に7〜8回に分けて飲むなど、こまめな摂取を心がけることが、成長期の体を守るための基本ルールです。
基本はやっぱり「水」!成長期に最適な理由

コンビニや自動販売機には、お茶、ジュース、スポーツドリンクなど、多種多様な飲み物が並んでいます。しかし、成長期の日常的な水分補給として最もおすすめなのは、やはりシンプルな「水」です。なぜ水が成長にとって最適なのか、その理由を深掘りしていきましょう。水選びのポイントや、飲み方の工夫についても解説します。
余計なものを含まない「ゼロ」のメリット
水が成長期に最適である最大の理由は、カロリー、糖質、脂質、カフェイン、添加物といった「余計なもの」が一切含まれていないことです。水分補給の本来の目的は、失われた体液を補い、代謝をスムーズにすることです。しかし、飲み物に糖分が含まれていればカロリーオーバーの原因になりますし、カフェインが含まれていれば利尿作用で逆に水分を出してしまうこともあります。
水であれば、どれだけ飲んでもカロリーはゼロですし、虫歯の原因になることもありません。消化吸収の過程で胃腸に負担をかけることも少なく、食事の邪魔もしません。成長期に必要な栄養素は食事からしっかりと摂り、水分補給は純粋な水で行うという「役割分担」を明確にすることが、最も効率的で健康的な体作りにつながります。体の中をきれいな水で満たすことは、細胞一つひとつを活性化させ、成長の土台を整えることになるのです。
ミネラルウォーターと水道水、どちらが良い?
「水」といっても、市販のミネラルウォーターと家庭の水道水、どちらを選べば良いのか迷う方もいるでしょう。結論から言えば、日本の水道水は世界的に見ても非常に安全性が高く、水質基準も厳格に管理されているため、そのまま飲んでも全く問題ありません。コストもかからず、いつでも手軽に飲める水道水は、成長期のお子さんにとって強い味方です。
一方、ミネラルウォーターには、カルシウムやマグネシウムといったミネラル成分が含まれているというメリットがあります。食事だけでは不足しがちなミネラルを、水からも微量ながら補給できるのは魅力です。ただし、毎日大量に買うとなるとコストがかかりますし、ペットボトルのゴミも出ます。家庭では浄水器を通した水道水を飲み、外出時には水筒に入れて持ち歩く、あるいは外出先で購入する場合はミネラルウォーターを選ぶなど、ライフスタイルに合わせて柔軟に使い分けると良いでしょう。
硬水と軟水、成長期におすすめなのはどっち?
水には、カルシウムとマグネシウムの含有量によって「硬水」と「軟水」という分類があります。日本の水道水や国産のミネラルウォーターのほとんどは「軟水」です。軟水は口当たりがまろやかで飲みやすく、胃腸への刺激も少ないのが特徴です。一方、ヨーロッパ産のミネラルウォーターに多い「硬水」は、ミネラルが豊富に含まれていますが、独特のクセがあり、人によっては飲みづらさを感じたり、お腹が緩くなったりすることがあります。
成長期のお子さんにおすすめなのは、飲み慣れている「軟水」です。水分補給は毎日継続することが何より大切ですので、無理なく美味しく飲める水を選ぶのが一番です。もし、便秘気味でマグネシウムを補給したいといった特定の目的がある場合は、硬水を少し取り入れてみるのも一つの手ですが、基本的には体に馴染みやすい軟水を選んでおけば間違いありません。ストレスなく、ゴクゴク飲める水を用意してあげましょう。
「冷たい水」より「常温」がおすすめなワケ
暑い日や運動の後には、キンキンに冷えた水を飲みたくなりますが、成長期の体にとってより優しいのは「常温」の水です。冷たい水を一気に飲むと、胃腸が急激に冷やされ、血流が悪くなってしまいます。胃腸の働きが低下すると、食事から摂った栄養素の吸収効率が下がってしまう恐れがあります。また、内臓が冷えると代謝が下がり、体全体の機能低下にもつながりかねません。
常温の水は体への刺激が少なく、胃腸への負担を最小限に抑えながらスムーズに吸収されます。特に、朝起きた直後や寝る前などは、常温の水を飲むことで体を内側から優しく目覚めさせたり、リラックスさせたりする効果が期待できます。もちろん、真夏の運動直後など、体を冷却する必要がある場合は冷たい水も有効ですが、日常的な水分補給としては、常温〜やや冷たい程度の水がベストです。冷蔵庫から出して少し置いてから飲むなど、ちょっとした工夫を取り入れてみてください。
「お茶」を飲むならカフェインに注意が必要

日本人にとって馴染み深い「お茶」も、水分補給の選択肢として一般的です。しかし、お茶の種類によっては、成長期にあまり摂りすぎない方が良い成分が含まれていることがあります。それが「カフェイン」です。ここでは、お茶に含まれるカフェインが成長に与える影響と、中高生におすすめのお茶の選び方について解説します。
カフェインが成長に与えるデメリットとは
緑茶、紅茶、ウーロン茶、ほうじ茶など、多くのお茶にはカフェインが含まれています。カフェインには眠気を覚ます覚醒作用があるため、勉強中の眠気覚ましとして利用することもあるかもしれません。しかし、成長期の子供が過剰に摂取すると、いくつかのデメリットが生じる可能性があります。
一つは「利尿作用」です。カフェインには尿の排出を促す働きがあるため、水分補給のために飲んでいても、結果として体内の水分を外に出してしまうことがあります。これでは、効率的な水分補給とは言えません。また、カフェインはカルシウムや亜鉛、鉄分といった、成長に不可欠なミネラルの排出を促してしまうという研究報告もあります。せっかく食事やサプリメントで栄養を摂っていても、カフェインの摂りすぎによって吸収が阻害されてしまっては本末転倒です。成長期は大人よりもカフェインの影響を受けやすいため、注意が必要です。
睡眠の質とカフェインの関係
カフェインのもう一つの大きな懸念点は、睡眠への影響です。先ほども触れたように、身長を伸ばすための成長ホルモンは、深い睡眠中に大量に分泌されます。しかし、カフェインには脳を興奮させる作用があり、摂取してから数時間は体内に留まって効果を発揮し続けます。夕方以降にカフェインを含むお茶を飲むと、寝つきが悪くなったり、眠りが浅くなったりして、質の高い睡眠を妨げてしまうリスクがあるのです。
「自分はコーヒーを飲んでもすぐ寝られる」という子でも、脳波を調べると深い睡眠の時間が減っていることがあります。成長ホルモンの分泌チャンスを逃さないためにも、特に夕食時や寝る前のお茶選びには慎重になる必要があります。質の良い睡眠は、成長のための最強のサプリメントとも言えるのです。
成長期におすすめのお茶は「茶色いお茶」
では、成長期にはどんなお茶を選べば良いのでしょうか。基本的には「ノンカフェイン」または「カフェインレス」のお茶が推奨されます。代表的なのが「麦茶」です。麦茶は大麦を焙煎して作られており、カフェインを一切含んでいません。ミネラルも豊富に含まれており、香ばしい風味で飲みやすいため、夏の水分補給だけでなく一年を通しての常備茶として最適です。
他にも、「ルイボスティー」や「黒豆茶」、「そば茶」などもノンカフェインで、ミネラルやポリフェノールを含んでいるためおすすめです。とうもろこし茶(コーン茶)も甘みがあって飲みやすく、子供に人気があります。これらのお茶は、時間を問わずいつでも安心して飲むことができ、胃腸への負担も少ないため、成長期の水分補給として水と同じくらい優秀な選択肢となります。
緑茶や紅茶を飲むタイミングと適量
「絶対に緑茶や紅茶を飲んではいけない」というわけではありません。緑茶に含まれるカテキンには風邪予防の効果が期待できますし、温かい紅茶にはリラックス効果もあります。大切なのは、飲む「タイミング」と「量」をコントロールすることです。
もし緑茶や紅茶を飲むなら、朝や昼間の活動時間帯に、コップ1〜2杯程度に留めるのが良いでしょう。食事中に濃い緑茶を大量に飲むと、鉄分の吸収を妨げるタンニンも多く摂取してしまうため、食事中は麦茶や水にし、食後に少し時間を空けてから楽しむのがベターです。そして、夕方以降はカフェインを含まない飲み物に切り替えるというルールを作ることで、カフェインのメリットを享受しつつ、成長への悪影響を最小限に抑えることができます。
「ジュース」や清涼飲料水が成長を妨げるリスク

甘くて美味しいジュースや炭酸飲料、スポーツドリンク。子供たちは大好きですが、これらを日常的に水代わりに飲んでいると、成長にとって大きなマイナスとなる可能性があります。ここでは、糖分の過剰摂取が体内でどのような反応を引き起こし、成長ホルモンや骨にどのような影響を与えるのか、そのリスクについて詳しく見ていきます。
糖分の過剰摂取と成長ホルモンの関係
ジュースや清涼飲料水には、飲みやすくするために大量の糖分(砂糖や果糖ブドウ糖液糖)が含まれています。液体の糖分は固形物に比べて吸収スピードが非常に速く、飲むとすぐに血糖値が急上昇します。これを「血糖値スパイク」と呼びます。
血糖値が急激に上がると、体はそれを下げるために「インスリン」というホルモンを大量に分泌します。実は、この血糖値が高い状態やインスリンが過剰に分泌されている状態では、成長ホルモンの分泌が抑制されてしまうことが分かっています。つまり、甘いジュースをダラダラと飲んで常に血糖値が高い状態が続くと、成長ホルモンが出るチャンスを自ら潰してしまっていることになるのです。特に、寝る前に甘いものを飲むのは、睡眠中の成長ホルモン分泌を直撃するため、最も避けたい習慣です。
清涼飲料水の「角砂糖」の数をイメージしよう
普段何気なく飲んでいる500mlのペットボトル入りジュースや炭酸飲料。これらにどれくらいの砂糖が入っているかご存知でしょうか。商品にもよりますが、一般的な清涼飲料水には500mlあたり約40g〜60gもの糖分が含まれていることがあります。これを角砂糖(1個約3〜4g)に換算すると、なんと10個〜15個分以上にもなります。
もし、目の前に角砂糖が10個積まれていて、「これを今すぐ全部食べて」と言われたら、多くの人は躊躇するでしょう。しかし、ジュースとして液体になっていれば、あっという間に飲み干せてしまいます。これが「ペットボトル症候群」と呼ばれる急性の糖尿病症状を引き起こす原因にもなります。さらに、糖分を分解・代謝するためには、ビタミンB群やカルシウムが大量に消費されます。ジュースを飲むことで、骨や体の成長に使われるはずだった大切な栄養素が、糖分の処理のために無駄遣いされてしまうのです。
スポーツドリンクは「日常飲み」NG!
「スポーツドリンクなら体に良さそう」というイメージがあるかもしれませんが、これにも大きな落とし穴があります。スポーツドリンクは、激しい運動で失われた水分とエネルギー(糖分)、塩分を急速に補給するために設計された飲み物です。そのため、意外にもかなりの量の糖分が含まれています。
運動をしていない普段の生活の中で、水代わりにお茶感覚でスポーツドリンクを飲んでいると、明らかに糖分と塩分の摂りすぎになります。これは肥満の原因になるだけでなく、虫歯のリスクを高め、食欲不振を招いて肝心な食事が食べられなくなることもあります。スポーツドリンクはあくまで「運動中」または「高熱で脱水気味の時」限定のスペシャルドリンクと捉え、日常の水分補給には水やお茶を選ぶようにしましょう。
100%果汁ジュースなら大丈夫?
「炭酸飲料はダメでも、果汁100%ジュースなら健康的でしょ?」と思われるかもしれません。確かにビタミンなどは含まれていますが、果汁ジュースも糖分(果糖)の多さという点では注意が必要です。果糖も摂りすぎれば肥満や糖化の原因となります。
また、野菜ジュースも同様で、飲みやすくするために果汁がミックスされていたり、加工の過程で食物繊維が失われていたりすることが多いです。ジュースから栄養を摂ろうとするのではなく、果物や野菜はそのものを食べるのが基本です。ジュースはおやつとしての「楽しみ」として捉え、1日コップ1杯程度にするなど、量を決めて楽しむことが大切です。
成長期に効果的な水分補給のタイミングとコツ

何を飲むかと同じくらい大切なのが、「いつ」「どのように」飲むかです。水分補給のタイミングを工夫することで、成長ホルモンの分泌を助け、自律神経を整え、栄養吸収を良くすることができます。ここでは、1日の中で意識したいベストな水分補給のタイミングをご紹介します。
「起床時」の一杯がスイッチを入れる
朝、目が覚めたらまずコップ1杯の常温の水を飲みましょう。人は寝ている間に汗をかき、朝は軽い脱水状態になっています。失われた水分を補うことで、ドロドロになった血液をサラサラにし、全身の細胞を目覚めさせることができます。
また、空っぽの胃に水が入ることで、「胃結腸反射」というスイッチが入り、腸が動き出して便意を促します。便秘は栄養吸収の敵ですので、朝の水一杯は腸内環境を整える上でも非常に効果的です。自律神経のバランスも整い、スッキリとした状態で1日をスタートさせることができます。
「食事中」の水分は適量を守る
食事中に水をガブガブと大量に飲むお子さんがいますが、これは消化の妨げになることがあります。水分を摂りすぎると胃酸や消化酵素が薄まり、食べ物を十分に消化できなくなる恐れがあるからです。未消化のまま腸に送られると、栄養の吸収率が下がってしまいます。
食事中の水分は、口の中を湿らせたり、喉の通りを良くしたりするためのコップ1杯程度(約200ml)に留めるのが理想です。よく噛んで食べることで唾液が出れば、過剰な水分は必要ありません。「流し込み食べ」を防ぐためにも、食事中の水分量には少し気をつけてあげましょう。
「運動前後」の正しい水分チャージ
部活動や体育の前後は、意識的な水分補給が必須です。運動を始める30分前くらいにコップ1〜2杯の水を飲んでおき、あらかじめ体内のタンクを満たしておきます(ウォーターローディング)。
運動中は、喉が渇いたと感じる前に、15分〜20分おきに一口二口飲む「点滴飲み」が基本です。そして運動後は、失った水分を速やかに補うため、減った体重分を目安に水分を摂ります。この時、激しい運動をした場合のみ、スポーツドリンクを薄めて飲むなどの対応が有効です。
「入浴後・寝る前」で睡眠の質アップ
お風呂上がりも汗をかいて水分が失われているため、必ずコップ1杯の水を飲みましょう。そして重要なのが「寝る前」です。就寝中の脱水を防ぐために、寝る30分前くらいにコップ半杯〜1杯程度の水を飲むことをおすすめします。
「夜中にトイレに行きたくなるから」と控える子もいますが、極端な脱水は睡眠の質を下げ、成長ホルモンの分泌を妨げます。ガブ飲みする必要はありませんが、一口潤す程度でも構いませんので、寝る前の水分補給を習慣にしましょう。これによって、睡眠中の代謝がスムーズに行われ、骨や筋肉の成長がサポートされます。
こまめな「点滴飲み」のすすめ
最後に、1日を通した飲み方のコツをお伝えします。それは、一度に大量に飲むのではなく、こまめに少しずつ飲むことです。これを「点滴飲み」と言います。
一気に500ml飲んでも、体は一度に吸収できません。授業の合間の休み時間、帰宅した時、着替える前、勉強の合間など、何かの行動の区切りに一口飲む習慣をつけるのがベストです。水筒を常に手元に置いておき、意識しなくても自然に手が伸びる環境を作ってあげることも、親御さんができる大切なサポートの一つです。
まとめ:水・お茶・ジュースを賢く使い分けて成長をサポート
成長期のお子さんにとって、水分補給は単なる喉の渇きを癒やす行為以上の意味を持っています。体内の水分バランスを整えることは、血液の流れを良くして栄養を骨や筋肉の隅々まで届け、質の高い睡眠を確保して成長ホルモンの分泌を促すための重要な土台となります。
基本は、余計なものを含まない「水」や「ノンカフェインのお茶(麦茶など)」を、こまめに摂取することです。これらは代謝を妨げず、体を常に潤った状態に保ってくれます。一方で、ジュースやスポーツドリンクなどの糖分が多い飲み物は、血糖値の急上昇を招き、成長ホルモンの働きを邪魔してしまうリスクがあるため、飲む量やタイミングには十分な注意が必要です。
もちろん、食事や水分補給だけで全ての栄養を完璧に満たすことは難しい場合もあります。特に成長期に必要なカルシウムや亜鉛、タンパク質などの栄養素は、通常の食事だけでは不足しがちになることも事実です。まずは日々の水分補給の内容を見直し、土台となる体を整えた上で、必要に応じて不足する栄養素を補う方法を検討してみるのも良いでしょう。毎日の「一口」の積み重ねが、お子さんの健やかな成長と未来の可能性を広げていきます。




