「子どもの身長がなかなか伸びないけれど、まだ伸びる余地はあるのだろうか?」「もう高校生だけれど、骨端線(こったんせん)はまだ残っている?」そんな疑問や不安を抱え、整形外科でのレントゲン検査を検討している親御さんや学生さんは少なくありません。
身長の伸びに深く関わる「骨端線」の状態を確認することで、今後身長が伸びる可能性があるのか、ある程度の予測を立てることができます。しかし、いざ病院へ行こうと思うと「費用はいくらかかるのか」「保険は適用されるのか」「どこの整形外科でも診てもらえるのか」など、分からないことも多いはずです。
この記事では、整形外科で骨端線を確認する際の具体的な費用相場や、検査の流れ、そして身長を伸ばすために知っておきたい大切なポイントについて、やさしく詳しく解説します。これから受診を考えている方は、ぜひ参考にしてください。
整形外科で骨端線をレントゲン確認する目的と基礎知識

身長の伸びに関する悩みを持ったとき、まず耳にするのが「骨端線(こったんせん)」という言葉ではないでしょうか。整形外科でレントゲンを撮る最大の目的は、この骨端線の状態を目で見て確認することにあります。まずは、骨端線とは具体的に何なのか、そしてレントゲン検査によって何が明らかになるのか、基礎的な知識をしっかりと押さえておきましょう。正しい知識を持つことで、医師の説明もよりスムーズに理解できるようになります。
骨端線とは何か?身長が伸びる仕組み
骨端線とは、成長期の子どもの骨に見られる「軟骨の層」のことを指します。別名「成長線」とも呼ばれ、レントゲン写真で見ると、骨の端の方に一本の黒い線のように写ることからこの名前がついています。大人の骨は硬く完成されていますが、子どもの骨はまだ未完成で、両端にこの柔らかい軟骨部分が存在します。
身長が伸びるというのは、単に骨が引き伸ばされているわけではありません。この骨端線の部分で新しい骨の組織が作られ、それが硬い骨へと置き換わっていくこと(骨化)によって、骨が長さ方向へ成長していくのです。つまり、骨端線は「骨の工場」のような役割を果たしています。工場が稼働している間は身長が伸び続けますが、成長期が終わり、この軟骨層がすべて硬い骨に変わってしまうと、レントゲン上から線が消えます。これを「骨端線が閉じた」と表現し、これ以上身長が伸びないことを意味します。
レントゲン検査で何がわかるのか
整形外科で撮影するレントゲン検査では、現在の「骨年齢」と「あとどれくらい伸びる余地があるか」を判断することができます。通常、左手のレントゲンを撮ることが一般的です。手首や指の骨は数が多く、骨の成熟度合いを判断するのに適しているためです。
医師はレントゲン写真を見て、骨端線がくっきりと開いているか、閉じかけて薄くなっているか、あるいは完全に閉じているかを確認します。また、それぞれの骨の形や隙間を見ることで、実際の年齢(暦年齢)と比較して「骨の年齢」が進んでいるか、遅れているかを診断します。たとえば、実年齢が14歳でも骨年齢が12歳程度であれば、まだ成長の余地が十分に残されていると判断できますし、逆に骨年齢が実年齢より進んでいれば、成長のピークは過ぎている可能性が高いと予測できるのです。
骨端線が閉じる平均的な時期
骨端線が閉じる時期、つまり身長の伸びが止まる時期には個人差がありますが、一般的な平均値としての目安があります。通常、女子の方が男子よりも早く成長のピークを迎え、骨端線も早く閉じる傾向にあります。
一般的には、女子は15歳〜16歳ごろ、男子は17歳〜18歳ごろに骨端線が閉鎖すると言われています。もちろん、これはあくまで平均であり、早熟なタイプであれば中学生のうちに閉じてしまうこともありますし、晩熟なタイプであれば高校生や大学生になってもわずかに伸び続けることもあります。この時期は「思春期がいつ始まったか」に大きく左右されます。思春期が早く来れば、その分骨の成熟も早まり、骨端線が閉じるのも早くなるのが一般的です。
大人になってからでも確認する意味はある?
「もう20歳を過ぎているけれど、まだ伸びる可能性がないか確認したい」と考える方もいるかもしれません。結論から言うと、成人してから整形外科でレントゲンを撮っても、ほとんどの場合、骨端線は完全に閉鎖しています。骨端線が閉じてしまった後に、手術以外の方法(サプリメントや整体など)で骨を物理的に伸ばすことは、医学的には不可能とされています。
しかし、ごく稀に大学生くらいまで骨端線が残っているケースもありますし、自分の骨の状態を医学的にハッキリと確認することで、「もう伸びないんだ」と踏ん切りをつけるために受診する方もいます。現在の状態を正しく知ることは、無駄な努力や怪しい高額商品への出費を防ぐという意味でも、一つの価値があると言えるでしょう。
検査にかかる費用の相場と保険適用のルール

病院を受診する際に最も気になるのが「費用」のことでしょう。「ただレントゲンを撮るだけだから安いのでは?」と思いがちですが、実は受診する目的によって、保険が使えるかどうかが大きく変わります。ここでは、保険診療になるケースと自費診療(自由診療)になるケースの違い、そして具体的な金額の目安について詳しく解説します。
保険診療になるケースとは
整形外科や小児科で保険が適用される(3割負担などで済む)のは、医学的に「病気や異常の疑いがある」と判断された場合に限られます。単に「背が伸びるか知りたい」というだけでは、病気の治療ではないため保険は使えません。
このように、医師が診察を行い、「低身長症」などの疾患の可能性があると判断して検査を行う場合には、保険診療として扱われます。この場合、自治体のこども医療費助成制度の対象年齢であれば、窓口負担が無料や数百円で済むこともあります。
自費診療(自由診療)になるケース
一方で、「身長は平均の範囲内だけれど、もっと伸ばしたい」「あとどれくらい伸びるか知りたい」「スポーツのために現状を把握したい」といった目的での受診は、病気の治療ではないため「自費診療(自由診療)」となります。
この場合、診察代やレントゲン撮影代、診断料などの全額を自己負担しなければなりません。また、自費診療の価格はクリニックが自由に設定できるため、病院によって料金に幅があります。一般的な整形外科では、病気の疑いがない場合のレントゲン撮影を断られることもあるため、事前に「自費でも良いので骨端線の確認をしてほしい」と伝え、対応可能か確認しておく必要があります。
具体的な費用の目安(初診料・検査料)
では、実際に自費で受診した場合、どのくらいの費用がかかるのでしょうか。一般的な整形外科クリニックと、身長治療を専門に行うクリニック(自費専門)では相場が異なりますが、おおよその目安は以下の通りです。
自費診療での費用目安
【一般的な整形外科の場合】
・初診料+レントゲン検査+診断料:3,000円〜6,000円程度
【低身長専門外来(自費クリニック)の場合】
・カウンセリング+詳細な検査(血液検査含む場合など):10,000円〜20,000円程度
一般的な整形外科で、単純に手のレントゲンを撮って医師が画像を見るだけであれば、比較的安価に済むことが多いです。しかし、専門的なクリニックで、血液検査によるホルモン値の測定や、将来の予測身長の詳細な算出を行う場合は、費用が高額になる傾向があります。
地域やクリニックによる料金の違い
費用は地域やクリニックの設備、方針によっても変動します。都心の専門クリニックでは、最新のAIによる骨年齢診断などを導入していることがあり、その分費用が高めに設定されていることがあります。逆に地方の個人病院などでは、良心的な価格(数千円程度)で対応してくれるところもあります。
また、「自費診療」の初診料は病院ごとに大きく異なります。ある病院では初診料が3,000円でも、別の病院では5,000円ということも珍しくありません。受診してから「思ったより高かった」と後悔しないためにも、予約の電話をする際に「骨端線の確認を自費でお願いしたいのですが、費用の総額はだいたいどれくらいになりますか?」と聞いておくことを強くおすすめします。
病院選びのポイントと受診の流れ

「よし、病院へ行こう」と決めても、どこの病院へ行けばよいのか迷ってしまうものです。すべての整形外科が成長に関する相談に詳しいわけではありません。ここでは、満足のいく診察を受けるための病院選びのポイントと、実際の受診の流れについてお話しします。
一般の整形外科と「低身長外来」の違い
まず知っておきたいのは、通常の「整形外科」と、「低身長外来」や「成長外来」を掲げているクリニックの違いです。
一般の整形外科は、骨折や腰痛などの治療がメインです。もちろんレントゲン撮影はできますし、骨端線が閉じているかどうかの判定も可能です。しかし、「あと何センチ伸びるか」といった専門的な予測や、生活習慣への細かいアドバイスまでは期待できない場合があります。あくまで「今の骨の状態」を診断してもらう場所と考えましょう。
一方、「低身長外来」や小児科の「内分泌(ないぶんぴ)外来」などは、成長の専門家です。ホルモンの数値や過去の成長データを踏まえた詳しい診断が受けられます。ただし、こうした専門外来は完全予約制だったり、紹介状が必要だったりすることもあるため、事前のリサーチが必須です。
受診前に電話で確認すべきこと
いきなり病院へ行く前に、必ず電話で確認を入れるようにしましょう。なぜなら、病院によっては「痛みがない場合のレントゲン撮影はお断りしています」という方針のところもあるからです。無駄足にならないよう、以下の点を確認してください。
電話での確認リスト
・「身長が伸びるか知りたいので、骨端線のレントゲンを撮ってもらえますか?」
・「病気ではないので自費になると思いますが、対応していますか?」
・「費用は初診料込みで大体いくらくらいになりますか?」
・「過去の身長記録(母子手帳や学校の健康診断表)は必要ですか?」
当日の診察の流れと所要時間
当日の流れは一般的な診察と大きく変わりません。まず受付で問診票を記入します。この時、両親の身長や、生まれた時の体重、これまでの身長の伸び方などを詳しく書くことが多いため、母子手帳や学校の健康診断カードを持参するとスムーズです。
その後、診察室に入り医師の問診を受けます。次にレントゲン室へ移動し、手(場合によっては膝など)の撮影を行います。撮影自体は数分で終わります。再び診察室へ戻り、現像された(あるいはモニターに映し出された)画像を見ながら、医師から骨端線の状態について説明を受けます。所要時間は混雑具合によりますが、トータルで30分〜1時間程度を見ておくとよいでしょう。
レントゲン検査以外に行われること

骨端線の確認だけでなく、より詳しく成長の可能性を探るために、レントゲン以外の検査や問診が行われることがあります。これらは主に、成長の専門外来や、より深い診断を希望した場合に行われる内容です。
問診や成長曲線の確認
レントゲン画像と同じくらい重要なのが「成長曲線」の確認です。成長曲線とは、年齢ごとの平均身長のカーブとお子さんの身長をグラフにしたものです。これまでの成長の軌跡を見ることで、「いつ急激に伸びたか」「いつから伸びが緩やかになったか」が分かります。
このグラフの傾きと、現在の骨年齢を照らし合わせることで、将来の最終身長の予測精度が高まります。そのため、受診の際は「過去数年分の身長データ」を持参することが非常に重要です。データがないと、その時点での点としての評価しかできず、予測が難しくなります。
血液検査が必要な場合
骨年齢だけでなく、体の中のホルモン状態を知るために血液検査を行うことがあります。主にチェックするのは以下の項目です。
血液検査を行うと、成長ホルモンがしっかりと出ているか、あるいは思春期がどれくらい進んでいるかが数値として見えてきます。ただし、自費診療でここまで行うと費用は高くなります。
生活習慣のアドバイス
検査結果を踏まえて、医師から生活習慣についてのアドバイスが行われることもあります。「夜更かしが多いようなので改善しましょう」「少し体重が増えすぎているので食事を見直しましょう」といった具体的な指導です。特に栄養状態は身長の伸びに直結するため、専門的な視点からのアドバイスは非常に有益です。
治療が必要と判断された場合
もし検査の結果、ホルモンの病気などの明確な原因が見つかった場合は、保険適用での「成長ホルモン補充療法」などの治療に進むことになります。しかし、これはあくまで特定の疾患と診断された場合のみです。いわゆる「体質的な低身長」や「もう少し伸ばしたい」という希望だけでは、こうした医学的治療(注射など)の対象にはなりません。
骨端線が閉じかけでもできることはある?

検査の結果、「骨端線が閉じかけている」「あと少ししか伸びる余地がない」と言われると、ショックを受けるかもしれません。しかし、完全に閉じてしまうまでの「ラストスパート」の期間にどう過ごすかで、最終的な身長は変わる可能性があります。ここでは、たとえ残りわずかな期間であっても、身長のポテンシャルを最大限に引き出すためにできる生活習慣の工夫について解説します。
睡眠の質を見直す重要性
「寝る子は育つ」というのは科学的にも正しい事実です。身長を伸ばす「成長ホルモン」は、深い睡眠に入っている間に最も多く分泌されます。特に、眠りについてから最初の3時間に訪れる深い睡眠(ノンレム睡眠)が重要です。
中高生になると、勉強やスマホの使用で夜更かしをしがちですが、睡眠時間が削られることは成長のチャンスを自ら捨てているようなものです。単に時間を確保するだけでなく、寝る直前のスマホをやめる、入浴で体を温めるなどして、「ぐっすり眠れる環境」を整えることが、残された成長期間を活かす鍵となります。
栄養バランスと食事の工夫
骨を作る材料がなければ、いくら成長ホルモンが出ていても身長は伸びません。特に意識して摂取したいのが、骨の主成分であるカルシウムだけでなく、その吸収を助けるビタミンD、そして骨の土台となる「タンパク質」です。
多くの人がカルシウムばかりを気にしがちですが、骨は「タンパク質(コラーゲン)」の繊維にカルシウムが付着してできています。つまり、肉や魚、卵、大豆製品などのタンパク質が不足していると、丈夫で長い骨は作られません。さらに、近年注目されているのが「亜鉛」や「マグネシウム」といったミネラルです。これらは通常の食事では不足しがちなため、意識的に取り入れる必要があります。
適度な運動が骨に与える影響
骨には「縦方向に圧力がかかると、その刺激で成長が促される」という性質があります。バレーボールやバスケットボールなどのジャンプするスポーツが良いと言われるのはこのためです。しかし、特定のスポーツをしていないと伸びないわけではありません。
大切なのは、日中によく体を動かし、骨端線に適度な刺激を与えることです。また、運動による程よい疲労は、夜の熟睡にもつながります。逆に、過度な筋力トレーニング(重量挙げのような極端な負荷)は、成長期の骨に負担をかけすぎる場合があるため、自重トレーニング程度にとどめるなど注意が必要です。
ストレス管理とホルモンバランス
意外と見落とされがちなのが「ストレス」の影響です。強いストレスを感じると、体内でコルチゾールというホルモンが分泌され、これが成長ホルモンの働きを妨げてしまうことがあります。
受験勉強や人間関係など、中高生は多くのストレスにさらされています。家庭内ではできるだけリラックスして過ごせるように心がけたり、趣味の時間を持ったりして、精神的な安定を保つことも、身体の成長には欠かせない要素なのです。
生活習慣の改善を継続するコツ
睡眠、食事、運動。これらは「今日やったから明日すぐに伸びる」というものではありません。骨端線が閉じるまでの限られた期間、毎日コツコツと積み重ねることが大切です。
しかし、毎日の食事だけで全ての栄養素を完璧に摂取するのは、忙しい学生や親御さんにとって大変なハードルです。特に、成長に必要な微量栄養素を食事のみでカバーしようとすると、カロリーオーバーになってしまうこともあります。そのような場合は、日々の食事を基本としつつ、不足しがちな栄養素を補うためのサポート食品などを上手に活用するのも賢い選択の一つです。無理なく続けられる方法を見つけ、ラストスパートの時期を大切に過ごしましょう。
まとめ:整形外科での骨端線レントゲン費用と成長の可能性
整形外科で骨端線をレントゲン確認することは、子どもの現在の成長段階を知るための最も確実な方法です。費用は、病気の疑いがない自費診療の場合、3,000円〜10,000円程度が相場となりますが、クリニックによって大きく異なるため事前の電話確認が重要です。
レントゲン検査で「骨端線がまだ開いている」と分かれば、そこからがいよいよ本番です。残された成長期間を最大限に活かすためには、質の高い睡眠、適度な運動、そして何より「栄養バランス」の整った食生活が不可欠です。検査結果に一喜一憂するだけでなく、その結果を受けて、今日からどのような生活を送るかが最終的な身長を左右します。
もし、日々の食事だけで必要な栄養を摂りきれているか不安な場合や、ラストスパートを後押ししたいと考える場合は、成長期に必要な栄養素が凝縮されたサプリメントなどを補助的に取り入れてみるのも良いでしょう。正しい現状把握と、日々の積み重ねで、後悔のない成長期を過ごしてください。


